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最低賃金は現行水準維持を(日本商工会議所などの商工3団体)

日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、全国商工会連合会の商工3団体は連名で、最低賃金に関する要望を取りまとめた。コロナ禍の収束が見通せないとして、今年度の最低賃金の審議について、現行水準の維持や、危機的な経済情勢を踏まえた新たな政府方針の決定などを求めている。賃金水準の向上を図るうえで「強制力のある最賃引上げを政策的に用いるべきではない」と主張している。

同要望では、新型コロナウイルスの感染拡大によって、依然として危機的な経済情勢にあると指摘。政府においては、これまで各種給付金や雇用調整助成金などの支援策を総動員して中小企業・小規模事業者の「事業の継続」と「雇用の維持」を強力に支えてきたが、最低賃金を大幅に引き上げた場合、一連の政策効果が打ち消されるだけでなく、中小企業などをさらに厳しい状況に追い込む懸念があるとした。
 政府が「より早期に全国平均が1000円になることをめざす」という方針を掲げ、2019年まで4年連続で3%台の大幅な引上げを続けてきた経緯に対する危機感も表明している。昨年の最賃改定では全国加重平均額で1円の引上げに留まったものの、経営実態を超える大幅な引上げが再び行われることへの不安の声が上がっているとした。
 そのため、現在の危機的な経済情勢や賃上げの実態を反映した新たな政府方針を設定するよう訴えた。また、コロナ禍の収束が見通せないなか、政府は中小企業などの資金繰りや事業再構築などの経営支援に最優先で取り組むべきであるとして、今年度の最低賃金審議については、景況感や地域経済の状況、雇用動向を踏まえ、現行水準を維持するよう求めている。
 賃金水準の引上げに向けては、生産性向上や取引適正化の支援によって、企業が自発的に賃上げできる環境を整備すべきとした。
 3団体連名による要望取りまとめに併せ、日商は東京商工会議所との連名による要望もまとめた。3団体連名の要望事項のほか、①最賃審議における「ランク制」の維持、②改定後の最賃発効までの十分な準備期間の確保、③特定の産業または職業に設定される特定最賃の廃止に向けた検討――などを求めている。各地域の状況を反映して地域ごとに引上げの目安額を決定するランク制は「合理的なシステムである」として、最賃の全国一律化に反対する姿勢を示している。

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